ヘルシンキその4 アールトと思い出

2009年8月。フィンランドを初めて旅した年。そこから更に遡ること数年。近所の雑貨屋さんで見つけたアイノ・アールトのタンブラーに一目惚れし、何日も通い詰めてやっとの思いで購入したのがフィンランドデザインとの出会いでした。当時私は大学で生活デザインという少し変わった分野を専攻していて、建築についても少し齧っていましたが、現代建築史の授業に出てきたアルヴァ・アールトと一目惚れして手に入れたタンブラーのデザイナーが夫婦だったと知るのはその少し後のことです。アイノ・アールトからイッタラを知り、マリメッコを好きになり、アルテックの家具やビンテージ食器に憧れていた時代。フィンランド旅行が決まり、行きたい場所リストにアールト自邸が入っていたのはわりと自然なことでした。その後、何度もフィンランドを訪れ、ヘルシンキ近郊にあるアールトの建築、例えばアカデミア書店、フィンランディアホール、アールト大学オタニエミキャンパスなど大体は見に行っていたのに、2度も見学に行ったアールト自邸から程近いスタジオ・アールトには訪れたことがなかったのです。

何故か今まで足を伸ばせずにいた、スタジオ・アールト。この旅行前に何となくサイトを見ていたら、意外と簡単に予約が取れるとわかり拍子抜け。こんなことならもっと前から行くべきだったかもと思いつつ、ガイドツアーに参加することにしました。中央駅から4番のトラムで約20分。そこから住宅街の中を5分ほど歩くと見えてきます。

写真やビデオで見たことはあったのですが、事務所内は思ったよりずっとコンパクトな作りでした。現在はアルヴァ・アールト財団のオフィスとして使われていて、職員の人達が普通に食堂でミーティングをしたり、事務所で働いています。私は予約をして行きましたが、よくよくサイトを見たら火〜日曜日の11時30分からは予約をしていなくてもガイドツアーに参加できると書いてありました。自邸とのセットチケットなどもあるので、時間に余裕があれば是非とも両方行くのがおすすめ。さて、これでヘルシンキ周辺にあるアールト建築の有名どころは大体見ることができました。次に目指すはフィンランド西部ノルマルックという場所にあるマイレア邸。ヘルシンキからは長旅になりそうなので、トゥルクやラウマ、ポリなどを経由してのんびり向かいたいなあ。ユヴァスキュラのアールトミュージアムやフランスにあるルイ・カレ邸にもいつの日か。

そういえば、ここのショップでつい買ってしまったものがあるんです。Makia × Alvar AaltoのコラボTシャツ。サヴォイやアールトの建築が格好よくプリントされたものも沢山あったのですが、何故か一番売れてなかったアールト自身がプリントされたものを選びました。勢いで。着るかな。いや、ちゃんと着ます。 

スタジオを後にして、友人との待ち合わせ場所へ向かいます。ミュージアムも見たかったしアウトレットでフィスカルスのチーズスライサーが買いたくて、アラビアにしてもらいました。ずいぶん昔にイケアで買ったものを持っているのですが、なんだか切れ味に満足できず。やっぱり刃物はフィスカルスでないとね。

スタジオ・アールトからイッタラ&アラビアセンターまでは、直線距離だとそんなに遠くはないのですが、トラムだと2つの路線を乗り継がなくてはいけません。トラム待ちの間に体がすっかり冷えていたので、アウトレットの隣のカフェでスープランチを頂きながら友人と長々とお喋りしてしまいました。  夜は仕事関係の方から連絡をもらい、ディナーへ。ワイワイした雰囲気だったり、動きがある中での会話はまだなんとかなるけれど、レストランで2人でするフィンランド語でのトークは中々ハードルが高かった。まだまだフィン語コミュニケーションの壁は高いです。

Studio Aalto
Tiilimäki 20 FI-00330 Helsinki