マリメッコのピッコロ、そしてヨカポイカ

大学院生の頃、先生に「フィンランドのことを研究するなら、身の回りのもの全てフィンランドのもににするくらいしないと。」と言われました。当時の私は「そんなことできるかい」と思っていましたが、それから月日は経ち、今改めて自分の周りを見渡すとフィンランド率はかなり上昇しています。学生の時は買うことなんて到底できなかったオイバ・トイッカのバードとか、アルヴァ・アールトやイルマリ・タピオヴァーラの家具が部屋にはあるし、何かを探す時はまずフィンランドブランドで良いものはないかチェックするのが常。そんな中でも、新旧問わず多いのがマリメッコの服とイッタラ、アラビアの食器。ダントツです。

思い返せば、初めて買ったマリメッコの服は確か2009年の夏、フィンランド旅行中に見つけた白とネイビーのボーダーTシャツ(タサライタのイルマ)。流石にボロボロになってその服はもう処分したのですが、その後買ったものは今もほとんど持っています。そう、マリメッコの服は結構丈夫なんです。

学生の時にバイト代で頑張って買ったもの、フィンランドのセカンドハンドショップや蚤の市で見つけた古着や、ヘルットニエミのアウトレットでお得にゲットしたもの、最近買ったものなど全部合わせると、クロゼットにある衣類の半分以上は占めているような気がします。その中でも特に多いのが、ヴォッコ・エスコリン・ヌルメスニエミのピッコロ(Piccolo)というストライプ柄が使われた服。マリメッコの定番シャツであるヨカポイカやワンピース、小物やバッグなど数多くのアイテムに使われているパターンです。

少し古いですが、2016年に書かれたヨカポイカ60周年の記事を発見したので、ざっと読んでみました。ピッコロは、1953年に当時マリメッコのヘッドデザイナーであったヴォッコが女性用ワンピースのためにデザインした柄だそうです。ヨカポイカが誕生したのはその3年後の1956年、彼女の夫のアンッティ・ヌルメスニエミと友人のタピオ・ヴィルッカラにこの生地を使ったシャツを作ったのが始まりでした。今までに500以上の色の組み合わせで作られているとあったのですが、これって本当に凄い。マイナーチェンジなどはあると思いますが、60年以上同じテキスタイルデザイン、同じ型で生産され続けている服なんて決して多くはないと思います。

膨大な色の組み合わせがあるピッコロですが、ストライプの構成が2色からなるものと、3色からなるものがあります。3色と言っても、ベースで使われる2色とそれらが重なってできる色の3つなので、実際に使われる色はどれも2種類。この2色と3色の違いは、年代なのか、使われる色によって3色目が出る出ないがあるのか、その時のコンセプトに合わせてあえて重ねたり重ねなかったりしているのか、よくわからないのですが、そこも面白い。そんなピッコロ、2020年の春夏のコレクションはリネンシリーズが出ていて、驚き、買ってしまいました。同じ柄にもかかわらず、色や型によって全然違うものになるからつい欲しくなってしまうんですよね。マリメッコマジック、ピッコロマジックです。