森と湖の国フィンランド[ FINLAND TRIP DAY7 ]

Airbnbなどで部屋を間借りすると、朝食をオプションでつけるかどうか聞かれることがあります。ここのホストもあらかじめ朝食が必要かどうかメッセージをくれたのでお願いしていました。アパートメントステイをしていると、いつも同じようなメニューになってしまうので(大抵はライ麦パンにハム、チーズ、きゅうり)、誰かが作ってくれた朝食を食べる機会はとても貴重です。

約束の時間にダイニングへ行くと、テーブルにはすでに朝食が用意されていました。ベリーとシナモン、チアシードがたっぷりかかったプーロ(穀物粥)、チーズとキュウリが乗ったサンピュラ(パン)、オレンジジュースにコーヒー。食器はイッタラにマリメッコ。この家のホスト、ヘリはかなりお洒落な方で、家具はほとんどアルテック。リビングにはアルネ・ヤコブセンのエッグチェアなんかも置いてありました。メニューの説明をしてくれたホストはもう一眠りするとのことで、最後に「あなたはフィンランド語が話せるからとても楽だったわ〜」と言って部屋に戻って行きました。英語やスウェーデン語も話せるけど、やっぱり少し疲れるらしい。本当はもっと言葉ができるようになって気軽に会話ができるようになりたいなと思っていたところだったのですが、こう言ってもらえるのはやっぱり嬉しいです。

11時7分タンペレ発の電車を予約していたので、9時過ぎに部屋を出て、ひとまず朝から開いているマーケットホールへ行ってみることにしました。ここには前日に行きそびれたピューニッキ・ムンッキカハヴィラの分店があるので電車で食べる用に一つゲット。(ムンッキはカルダモン入りの甘いパン、プッラの生地を油で揚げたもの。ジャム入りなどもあるけど、ここのは真ん中に穴が空いているタイプです)ピューニッキといえば、2009年に初めてフィンランドを旅した時に訪れた思い出の場所だったりもするので、次にタンペレに来る際は立ち寄れるといいなあ。この日は月曜日。美術館も開いていないし、特にやることもなかったので電車の時間までブラブラ散歩をして過ごしました。

電車が少し遅れていてユヴァスキュラに着いたのは12時40分。車内でムンッキは食べていたけれど流石にお腹が空いていたし、次の予定まで時間があったので、駅のコインロッカーに荷物を預けてランチができそうな店を探します。タンペレ同様、お食事処に関しては何も調べていなかったので、グーグルマップで見つけた駅から近いHarmooniというレストランに入ってみることにしました。調べてみたら20世紀初頭に建てられたオルガン工場の建物を改装したレストランらしい。テラス席に入ると、店員さんが注文取りに行くから座ってて〜と言い残してどこかに行ってしまい、全然戻ってこずソワソワ。やっと注文を取りにきてくれたものの、方言&早口(若いから?)で、この店のシステムが全然理解できず、やや凹みモードに。注文したチキンのグリルランチは、ご飯の上にチキンや野菜、グースベリーなどが乗った不思議な料理でした。

15時に宿泊先のホストが駅まで迎えに来てくれることになっていたので、食後はセカンドハンドショップを覗いたり、スーパーマーケットで買い出しをしてから待ち合わせ場所へ。少し待っていたら、車が来てすぐにこちらに気付いてくれました。ユヴァスキュラから宿泊先までは車で約20分。人里離れた場所にあるので、あらかじめ送迎オプションはあるかどうかを聞いていて、ユヴァスキュラ駅まで迎えに行けるよとのことだったので、お願いしていました。ホストのハンドル捌きはなかなかワイルドで、しかも電話をしながら運転するのでかなり怖かったけれど、本当に送迎をお願いしてよかった…と思うくらい想像のはるか上を行く森の中にステイ先はありました。

森と湖の国フィンランド。この言葉を久しぶりに体感したような気がします。本当に何もない。そして信じられないくらい静かなんです。部屋に荷物を置いたら、ホストの友人だというアリが周辺を案内しながら自分が撮った写真も見せてくれて、この辺りにあるベリーや森に暮らす昆虫についてなど色々教えてくれました。その中にあった湖の上に霧がかかっている写真がとても幻想的で美しかったので、それについて尋ねたら、朝の3〜4時くらいに見れるよとのこと。起きれるかな〜。

湖の近くにはホストの家族が暮らす家、作業場、パーティーなどができるメイン棟(キッチンやトイレもある)、サウナ、そして宿泊棟があります。ホストの旦那さんが建てたという宿泊棟は、すごく可愛くてまるでドールハウスみたい。1階は2部屋、2階には広めの部屋が一つあるそうで、予約した1階の部屋のドアを開けるとベットが二つあるだけ。外鍵もなくて、とてもシンプルな作りです。(ホストに鍵はないんだけど必要?ここには悪い人はいないから大丈夫だと思うけど、と言われたので、フィンランド人のこと信じてるから問題ないよ〜と答えた)敷地内を一通り見て母屋に戻ってきたら、ホストの旦那さんが軒下でタバコを吸っていました。アリがコーヒーを出してくれたので、座って一緒に飲み始めたのも束の間、僕は本を読むからと何処かへ去っていってしまい、突然旦那さんと二人っきりに・・・。見るからに寡黙で典型的なフィンランド人という雰囲気だったので、少しビビっていたのですが、多分私がフィンランド語を話していたからか、少しお喋りに付き合ってくれました。アルヴァ・アアルトが好きなのか?と聞かれたので、うん、と応えたら、アアルトの学友だったヤルマリ・ランキネン(Jalmari Lankinen)という建築家が遠い親戚だという話や、日本の木造建築の構造について書かれた本を見せてくれて、将来的にはここに日本庭園みたいなものを作りたいと話してくれました。タンペレで泊まった部屋のホスト、ヘリも日本に興味があると言っていたし、こんなに遠い国で日本の文化が好きだと言ってくれる人に会えるのはやっぱり嬉しい。もちろん、フィンランド語を学んでいると日本が好きだったり、日本語を話せたりするフィンランド人と出会う機会は多いのですが、偶然出会った人たちにそう言ってもらえるのは、とても光栄なことなんだと思います。

コーヒーを飲み終わったので、湖やその周りの写真を撮ったり、庭のベンチに座って日記を書いたりしていたら、アリからサイクリングに行かない?と誘われました。そういえば、家の周りを案内してくれた時にそんなようなこと言ってたっけ。もともと、翌日に自転車を借りてセイナッツァロとムーラッツァロへ行く予定だったので、ついでにサドルの高さも調整してもらいました。ちょっとその辺りまで、くらいの感覚でスマホとカメラだけしか持たずに出発してしまったのですが、なんかどんどん進んでいって、え、このままどこへ?とドキドキしつつ付いて行ったら、スーパーマーケットなどがある市街地まで来ていました。この道をまっすぐ行けばセイナッツァロへ行けるよと教えてくれたり、Luonto Polku(自然の道)というエリアへ川を見にいったり、アリお気に入りの小さなカフェを教えてもらったりしながら、市街地をぐるっと一周し、サイクリングは終了。ステイ先から市街地までは片道約5km。思った以上に疲れてしまい、ややフラついていたら、見かねたアリが明日は使わないから自分の電動自転車を貸そうか?と。ムーラッツァロの実験住宅までは片道14kmほどあるので、ありがたく貸してもらうことにしました。

Pyynikin Munkkikahvila Kauppahalli
Hämeenkatu 19, Tampere

Ravintola Harmooni
Väinönkatu 1, 40100 Jyväskylä